関数 $y=f(x, y)$ が $(x,y)=(a,b)$ で連続であるとは
$$\lim_{(x,y)\rightarrow (a,b)}f(x,y)=f(a,b)$$
が成り立つことである.
すなわち $(x,y)=(a,b)$ で$f(x,y)$ が連続であるとき, 次の3つの条件を満たす:
- 極限値 $\displaystyle\lim_{(x,y)\rightarrow (a,b)}f(x,y)$ が存在
- $f(a,b)$ が定義されている.
- $\displaystyle\lim_{(x,y)\rightarrow (a,b)}f(x,y)=f(a,b)$
Contents
連続な例
次の関数 $f(x,y)$ は原点で連続かどうか判定せよ:
$$f(x,y)=
\begin{cases}
\frac{x^{2}y}{x^{2}+y^{2}}& (x,y)\not= (0,0)\\
0& (x,y)=(0,0)\end{cases}$$
解答:連続であることを示す3つの条件を確認する.
(1)極限値の存在:$\displaystyle\lim_{(x,y)\rightarrow (0,0)}\frac{x^{2}y}{x^{2}+y^{2}}=0$ (⊛求め方は2変数関数の極限値を参照)
(2)$(x,y)=(0,0)$ で $f(x,y)$ が定義されている. ($f(0,0)=0$)
(3)$\displaystyle\lim_{(x,y)\rightarrow (0,0)}\frac{x^{2}y}{x^{2}+y^{2}}=f(0,0)$
よって $\displaystyle\displaystyle\lim_{(x,y)\rightarrow (0,0)}\frac{x^{2}y}{x^{2}+y^{2}}$ は 原点で連続.
不連続な例
$\displaystyle\lim_{(x,y)\rightarrow (a,b)}f(x,y)\not=f(a,b)$
$f(x,y)=
\begin{cases}
\frac{x^{2}y}{x^{2}+y^{2}}& (x,y)\not= (0,0)\\
1& (x,y)=(0,0)\end{cases}$
極限値 $\displaystyle\lim_{(x,y)\rightarrow (0,0)}\frac{x^{2}y}{x^{2}+y^{2}}=0$ は存在する. (⊛求め方は2変数関数の極限値を参照)
また $(x,y)=(0,0)$ において $f(x,y)$ は定義されているが, $\displaystyle\lim_{(x,y)\rightarrow (0,0)}f(x,y)\not=f(0,0)$ より連続ではない.
$f(a,b)$ が定義されていない
$f(x,y)=\frac{x^{2}y}{x^{2}+y^{2}}$
$(x,y)=(0,0)$ において $f(x,y)$ は分母が $0$ となるので $f(0,0)$ が定義されていない.
(ただし $f(0,0)$ は定義されていないが, $(x,y)=(0,0)$ における極限値は存在する.)
よって $(x,y)=(0,0)$ において $f(x,y)$ は連続でない.
極限値が存在しない
$f(x,y)=
\begin{cases}
\frac{xy}{x^{2}+y^{2}}& (x,y)\not= (0,0)\\
0& (x,y)=(0,0)\end{cases}$
$x=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta$ と極座標に変換すると次を得る:
$\begin{eqnarray*}\displaystyle\lim_{(x,y)\rightarrow (0,0)}\frac{xy}{x^{2}+y^{2}}&=&\displaystyle\lim_{r\rightarrow 0}\frac{(r\cos\theta)(r\sin\theta)}{r^{2}(\cos^{2}\theta+\sin^{2}\theta)}\\&=&\displaystyle\lim_{r\rightarrow 0}\cos\theta\sin\theta\end{eqnarray*}$
このとき極限値は $\theta$ の値に依存しているので, 極限は存在しない.
よって連続でないのは明らか.
厳密な定義
任意の$\epsilon >0$ に対して, ある$\delta >0$ が存在して
$$|(x-a)^{2}+(y-b)^{2}|<\delta\ \ \ \Longrightarrow \ \ \ |f(x,y)-f(a,b)|<\epsilon$$
が成り立つとき, $y=f(x,y)$ は $(x,y)=(a,b)$ で連続であるという.