2変数関数のテイラー展開

f(x,y) が連続な n 次偏導関数をもつとき
f(x+h,y+k)=r=0n11r!(hx+ky)rf(x,y)+Rn
をみたす θ (0<θ<1) が存在する. ただし Rn=1n!(hx+ky)nf(x+θh,y+θk)

ここで(hx+ky)rf(x,y) に適用するとき

(hx+ky)rf(x,y)=j=0r(rj)(hx)j(ky)rjf(x,y)=j=0r(rj)hjkrjrxjrjf(x,y)

f(x,y) を 「x について j 回」, 「y について (rj) 回」の合計 n 回偏微分をするとき, 出てくる関数が連続であればシュワルツの定理によって得られる関数はすべて等しいので, 順序はどの順序で偏微分を行ってもよいとみなす.

f(x,y)=x2+xy+y2について2次の項までテイラー展開で求めよ.

解答f(x,y) について

fx=2x+yfy=x+4yfxx=2fxy=1fyy=4

よってテイラーの定理より

f(x+h,y+k)=r=021r!(hx+ky)rf(x,y)+R3=f(x,y)+(hx+ky)f(x,y)+12!(hx+ky)2f(x,y)+R3=(x2+xy+y2)+{h(2x+y)+k(x+4y)}+12(h22+2hk1+k24)+R3=(x2+xy+y2)+(2x+y)h+(x+4y)k+(h2+hk+2k2)+R3

このとき剰余項は以下で与えられる:

R3=13!(hx+ky)3f(x+θh,y+θk)    (0<θ<1)

2変数関数のマクローリン展開

f(x,y) が連続な n 次偏導関数をもつとき, 0θ1 が存在して次が成り立つ.
f(x,y)=r=0n11r!(xx+yy)rf(0,0)+Rn
ただし Rn=1n!(xx+yy)nf(θx,θy)

f(x,y)=ex+yについて1次の項までマクローリン展開せよ.

解答

fx=fy=fxx=fxy=fyy=ex+y

f(0,0)=fx(0,0)=fy(0,0)=fxx(0,0)=fxy(0,0)=fyy(0,0)=e0+0=1

よって

ex+y=f(0,0)+(fx(0,0)x+fy(0,0)y)+R2=1+x+y+R2

このとき剰余項 R2 は次で与えられる:

R2=12!(xx+yy)2f(θx,θy)=12{x2fxx(θx,θy)+2xyfxy(θx,θy)+y2fyy(θx,θy)}=12(eθx+θyx2+2eθx+θyxy+eθx+θyy2)=12(x+y)2eθx+θy

平均値の定理(2変数)

2変数関数におけるテイラーの定理において n=1 とすれば 2変数の場合の平均値の定理が得られる.

f(x,y) が全微分可能であるとき
f(x+h,y+k)f(x,y)=fx(x+θh,y+θk)h+fy(x+θh,y+θk)y
をみたす θ (0<θ<1) が存在する.

多変数関数のテイラー展開

f(x1,,xm) が連続な n 次偏導関数をもつとき, 0θ1 が存在して次が成り立つ.
f(x1+h1,,xm+hm)=r=0n11r!(h1x1++hmxm)rf(x1,,xm)+Rn
ただし Rn=1n!(h1x1++hmxm)nf(x1+θh1,,xm+θhm)